プライバシーのことで日々気を付けることはある?
「むやみにいろんな人に言わない」「自分が言いたい人にだけ言う」「心配なときは専門家に聞いて考える」の3点に気を付けるとよいでしょう。
HIV陽性者であることは、基本的に個人のプライバシーで、社会的に公表を強要されるものではありません。もしHIVのことを言わないといけないのではないか、と迷われることがあれば「誰に」「どのように」「どこまで」伝えるかについて、HIVの専門相談窓口(かかりつけのHIV拠点病院)に一度相談してみるのもいいでしょう。「言いたくないなら言わなくていい」ことや「こんな風に伝えたらいいのではないか」などアドバイスをもらうことができます。
一度伝えてしまった情報を取り消すことはできません。「言わなければよかった・・・」と後悔しないよう、慎重に検討されることをお勧めします。また、HIV感染症に関係する書類の取り扱いや役所のやり取りなどで留意することを以下にまとめていますので、ご一読ください。
病名を記載している書類を持ち歩くとき
身体障害者手帳や自立支援医療受給者証には、「免疫機能障害」という病名や医療機関などの個人情報が記載されています。手荷物の中に身体障害者手帳を無造作に入れていると、誰かが間違って持っていったり、バックの中を覗かれたりしないとも限りません。また、主治医の診断書など、病名が記載されている書類の紛失により、プライバシーが漏洩してしまうことも考えられます。HIVに関係のある手帳や書類を携帯する際は、十分ご注意ください。
役所とのやりとりの中で…
身体障害者手帳を取りに行くなど役所に行く用事があるとき、特に免疫機能障害に関することで福祉課にいく場合、オープンカウンターで役所の職員と話す際に、人目が気になる場合があるかもしれません。事前に担当者に連絡し、別室を用意していただくよう相談することもできます。
その際は理由をはっきり言うことが必要です。免疫機能障害で申請される方については、疾患の特徴から役所ではプライバシーに十分留意して事務対応するよう通知が出されていますし、役所の職員も十分な配慮をすることになっています。
また、「自分の机に役所からの書類を置いておいたら、親(友人)に見られて病気がバレました」という方がたまにいらっしゃいます。見られたくない書類はなくさないように、厳重に保管してください。役所に希望すれば、無地の封筒を使って書類を郵送してくれる場合があります。
HIVのことがばれない方法ってありますか?
HIV陽性がわかっても、「プライバシーのことが気になり受診するまでにすごく勇気がいりました。」このように初めて受診される患者さんはプライバシーに関する心配事が少なくありません。ここでは、プライバシーに関する「気になること」を説明します。
むやみにいろんな人に言わない、専門家に聞く
HIV陽性と告知を受けてすぐは落胆し、動揺される方が多くいらっしゃいます。そういう時期に衝動的に「HIVになった・・・」と、言わなくてもいい人にまでついカミングアウトしたり、「言わないといけないと思って」職場に申し出てしまった、ということもあります。
HIVであることは、基本的に個人のプライバシーで、社会的に公表を強要されるものではありません。もしHIVのことを言わないといけないのではないか、と迷われることがあれば「誰に」「どのように」「どこまで」伝えるかについて、HIVの専門相談窓口(かかりつけのHIV拠点病院)に一度相談してみるのもいいでしょう。「言いたくないなら言わなくていい」ことや「こんな風に伝えたらいいのではないか」などアドバイスをもらうことが出来ます。
「言わなければよかった・・・」と後悔しないよう、慎重に検討されることをお勧めします。
家族・友人編
家族や友人にもHIVを言っていない患者さんはいらっしゃいます。
HIVの治療を開始する際は「身体障害者手帳」「自立支援医療」の各種制度を利用することが多いです。その際に役所での手続きが必要で、手続き(やり取り)方法について気を付けておく必要があります。
役所の窓口は自治体により部署名が違いますが、「福祉課」や「障害福祉課」などが多いです。「福祉課」や「障害福祉課」より郵送で自宅に書類が来る場合があります。部署名が記載されている役所の封筒が自宅に郵送されるので、封筒を見た家族がびっくりされることがあります。自宅に郵送して欲しくない人は事前に役所の担当者の方と別の受け取り方ができないのか相談をしておきましょう。
親や配偶者の保険に扶養されている方は、保険者からの医療費の通知がある場合、助成されている金額が高額であることで不思議に思われるかもしれません。
Q. 医療費のお知らせとは?
①健康や医療に対する認識を深める ②医療費の確認 ③医療費請求の確認を目的として保険者より加入者(被保険者)に通知しています。各健康保険が個々の取り組みとして行っており通知頻度や通知自体は保険者次第です。
出典: 全国健康保険協会 協会けんぽホームページ
上記のようなことや、HIVに関連する病気で入院治療が必要になった時、救急時など親族への病状説明等で何かの折に分かってしまう可能性はあります。病状によっては療養生活など協力してもらうことも必要になるかもしれません。
その時に病気のことをどうするか?「誰に」「どこまで」「どう伝えるか」考えておくことも大切です。
会社編
保険証を利用し受診することで会社や家族に病院の受診・病名が分かってしまうと心配されている患者さんもいらっしゃいます。
会社(加入している保険者)により多少異なりますが、原則本人の了解なしに病院の受診や病名についてわかってしまうことはありません。参考までに下記「保険診療の仕組み」をご確認ください。
また、会社から身体障害者手帳の申告を求められても応じる必要はありません。
厚生労働省の「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」には、「本人の意思に反して障害者である旨の申告または手帳の取得を強要してはいけない」ということになっています。
(参考)
エイズ予防情報ネット「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」
(平成7年2月20日発・一部改正 平成22年4月30日)
https://api-net.jfap.or.jp/library/data/law/doc_02_29.htm
生活・日々の生活の中で気を付けておくこと
身体障害者手帳は大切に保管しましょう。
身体障害者手帳は障害福祉サービスを利用する場合は提示する必要がありますが、サービスを利用しない場合は、常に持っておく必要はありません。病院への提示も必要ありませんので大切に保管してください。