HIVに関連した日和見感染症について

日和見感染症とは、免疫力が低下したときにかかる、さまざまな感染症や病気のことをいいます。今の体調を維持するためにも、日和見感染の早期発見と予防はとても大切なことです。

主な日和見感染症

帯状疱疹(CD4=500以下)

ピリピリした痛みが体の片側に発生し、その後虫刺されのような発疹/水疱が生じます。

カポジ肉腫(CD4=500以下)

スミレ色の腫瘍です。できやすい場所は皮膚ですが、内臓や消化管、その他全身のどこにでもできることがあります。消化管にできた場合は下血する場合があります。

ニューモシスチス肺炎(CD4=200 以下)

ニューモシスチス・イロベジー(カリニ)という真菌を原因とする肺炎の一種です。発熱や咳に加え、体を動かしたときに息切れが起こります。

カンジダ症(CD4=200 以下)

いわゆるカビの一種です。カビのような白斑が舌や頬の内側などにできます。食道・気道・皮膚にもできることがあります。特徴はティッシュなどで拭うと除去できることです。

サイトメガロウイルス感染症

大部分は体内に潜伏しているサイトメガロウイルスの再活性化によって起こります。
網膜症や食道炎、大腸炎などを起こします。

進行性多巣性白質脳症

JCvirusが中枢神経に感染します。
運動失調、不全片麻痺、視覚障害、言語障害、意識障害、認知障害、けいれんなど障害を受けた部位に応じて様々な症状を認めます。

日和見感染症の予防について

日和見感染の予防として、次のことを心がけましょう。

  • 食べ物の中にはさまざまな細菌がいます。食中毒を防ぐために、衛生的で新鮮な物を食べましょう。CD4リンパ球が200以下の場合、あるいは体調が悪いときには生ものを避けましょう。
  • CD4リンパ球が200以下になった場合、日和見感染予防薬の内服を開始する場合があります。指示された薬(抗HIV薬、日和見感染予防薬など)はきちんと飲みましょう。
  • 感冒やインフルエンザ、新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、マスクを着用し、こまめに手洗い、うがいをしましょう。これらのウイルスは感染力が強く、免疫機能が正常な人でも感染する可能性が高いので注意しましょう。インフルエンザには予防接種も有効ですが、予防接種を受ける際は主治医にご相談ください。

CD4の値が下がると、日和見感染症にかかる可能性がでてきます。その症状がないか、日頃から自分でチェックする習慣をつけましょう。また、定期的に受診し、専門的にも診てもらいましょう。